ケータイ小説by編集長

黒い林檎〜第一章〜

アタシは、髪のコーディネーター。 ん?いわゆる、美容師ってヤツね。 赤羽のとにかくオッサレーなお店で切ってるのよね。 自分で言うのもなんだけどぉ、結構いい腕してるっていうか、ワリと評判いいっていうか。でも、今のこのド不景気。 さすがのアタシも…

牙とナイフ〜第二章〜

早速、シャチョウの部屋に向かうとシャチョウはデスクの上で鼻毛を切っていた。このオッサンのマヌケな様は俺をイラつかせやがる。 人を呼びつけておいて、テメェは鼻毛かよ!!「おう、6号。来たか。」 シャチョウは鼻毛ハサミを置いて、デスクの引き出しか…

牙とナイフ〜第一章〜

アントニオ〜〜 トゥーサケ〜ン…… トゥーサ、トゥーサ、トゥーサ、ケ〜ンラ〜ヴ……アントニオ〜〜 トゥーサ、トゥーサ……。 なんなんだ、このメロディは。オレは階下から聞こえるギターの音色と下手くそな唄で目が覚めた。 昨日はシャチョウに色々連れ回されて…

あなたがいれば〜第四章〜

「あなたのことが……」 「あっ、そーいえば、アナタ、僕とお会いしたことありますよね?」 「え………えっ!?」 「僕、赤羽駅でストリートライブやってるんですよね。アナタ、見てませんでしたか?」……赤羽駅でのストリートライブ。 確かに見たことがあった。 …

あなたがいれば〜第三章〜

青年と土佐犬が怪訝にこちらを伺っている。 気づいたら一人と一匹の絡みが始まってから、ちらほらいた人がいなくなっていた。埴輪子は気まずさを感じ、口を開いた。 「こんにちは、か…かわいいワンちゃんですね。」 私の声を聞くと、青年は笑顔を見せた。 「…

あなたがいれば〜第二話〜

綱を持つ腕は意外に細く、白かった。 「アントニオ!落ちたもん食べちゃダメって、僕いつも言ってるよね?メッ!!」 アントニオ、というのはおそらくこの土佐犬の名だろう。 アントニオをしきりに怒っているのは、ひょろっとした青年だった。 ARMYと胸に大…

あなたがいれば

埴輪子(はにわ子)はいつだって待っている。 土佐犬の綱を手にした王子様を。今日のお昼も、一人で公園のベンチでお弁当を食べながら無意識に土佐犬を探してしまう。 こんなオフィス街の公園に土佐犬なんて、いるはずないのに。 でも、職場の女の子たちの退…